英語教師として15年間勤めた後、県内で通訳や訪日客向けツアー企画の業務に携わった望月彩子さんが今春、地域の人と資源を掛け合わせた体験を提供する地域送客メディア「ZeMott(ジーモット)」の本格展開を始めた。欧米豪人を中心に増えているFIT(個人旅行者)を主なターゲットに、例えば「市内で暮らす親子と一緒に縮景園で楽しむ夜桜散歩」など、定番観光ではなく唯一無二の思い出づくりの場を提供することで広島観光のリピーター増につなげる狙い。同メディアは主に広島在住の「TOMODACHI(トモダチ)ホスト」、申し込む「ゲスト」、運営の3者で構成する。企画掲載から当日までの流れは、まず英語表記の専用サイトで申し込んだトモダチホストと運営側がウェブ会議を実施。提供できる体験など詳細をヒアリングし、内容をサイトに掲載する。ゲストには地図、日程といった条件から検索してもらう。申し込み後は当日現地集合で、施設の入場料などは個々が負担。運営側はゲストがトモダチホストに支払う体験共有料の一部を手数料として受け取る。現在は広島・山口県を中心に発信しているが軌道に乗ればエリアを広げ、3年後に年商4000万円、ゆくゆくは18億円規模を目指す。望月さんは「私がこれまで海外旅行をした中で、モデルコースを巡る定番観光よりも、うまく会話ができないが身ぶり手振りで現地の人と触れ合った経験の方が刺激的で忘れられず、またその国に行きたいと思った。そんな体験を多くの人に味わってもらいたい」と話す。同事業は県の「Campsアクセラレーションプログラム」で昨年12月から試験稼働し、事業化のめどが立った。ほか市産業振興センターの「2024年度創業チャレンジ・ベンチャー支援事業」採択も。

担当記者:阿戸

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