スタートアップのENTECH(三原市、吉井誠社長)は3月、歯科技工士と歯科医院をつなぎ、口腔内スキャナーデータを受発信するDXプラットフォーム「デンタルレボリューション」の提供を始めた。技工士の高齢化と人材不足が進む中、業務の効率化を図り、技工士の働き方改善につなげる。
吉井社長は歯科技工士歴21年で、別法人で技工所も経営。歯科技工士は国家資格で専門的な知識や技術が必要な一方、患者の治療スケジュールに合わせた納期対応を歯科医師から求められ、働き手不足に加え長時間労働や残業が多い傾向にあるという。詰め物や入れ歯、矯正装置といった歯科技工物の作成に通常は必要になる型取りした模型に代わり、近年普及しつつある口腔内スキャナーによる3Dデータを活用し、両者の作業効率化を図る。競合に口腔内スキャナーのメーカーやIT企業のプラットフォームがある中、同社のプラットフォームは吉井社長の経験を基に設計。さまざまなメーカーに共通して使えるほか、歯科医師から送信されるデータの不備なども検証し、精度を確認して付加価値を高める。歯科医師と技工士向けのオンライン教育サービスも提供。コミュニティー機能を設け、双会員同士の交流や方向の理解促進と技術共有を進める。同事業は県の「ひろしまユニコーン10 アクセラレーションプログラム 2024」に採択された。吉井社長は「サービスの普及でリモート作業もできるようになり、育児などの合間に短時間作業も可能。日本の技工士の高い技術力を生かし、海外展開も進めていきたい」と話した。
担当記者:高見