基礎工事のタケウチ建設(三原市円一町、竹内謹治社長)は地盤改良の特許技術「TNF(テンダー・ネット・ファンデーション)工法」の市場拡大を受け、2025年6月期に初の100億円超えとなる売上高110億円(前期比72%増)を見込む。来期に持ち越す受注残も既に100億円分を超えており、2期連続で大台を予想。また、26年11月には同市内で本社の新築移転を計画する。
独自開発のTNF工法は軟弱地盤でも杭を使わず、地盤改良層と一体化した井桁状の基礎で大規模な建物を支える。地盤の強度分布に応じて基礎の厚さを最適化する技術を新たに導入した22年の改良版「TNF2・0工法」も訴求する。24年1月の能登半島地震では震度6強の地震でも被害がなかった。三井住友海上火災保険の事業活動総合保険に1棟当たり10億円の保証が組み込まれるなど減震性能が高く評価されている。今期は「2024年問題」を受けた物流倉庫の拡充ほか、海外工場の国内回帰などで需要が大幅に伸長。6月までに前期比20棟増の150棟を施工する予定だ。竹内社長は「施工実績は今期で累計2000棟を超え、ようやく認知と信頼が高まったと実感。30年までに3000棟を目指す」と話す。26年11月には館町2―2―1の敷地4020平方㍍に鉄骨4階建て延べ2983平方㍍の本社を新築予定。今年5月中旬に着工する。最大震度6弱を記録した芸予地震と同等の災害にも耐えられるよう、TNF工法と特殊な砂袋で振動を吸収する独自の減震技術T―BAGS工法を組み合わせる。全てオフィスフロアだが1階はデスクや椅子を置かず、VRやXR(クロスリアリティー)を用いて施主に建設予定地のデジタルイメージを見てもらえる設備の導入など多用途を想定する。2〜4階は事務所で、社員を現在の約80人から200人程度まで増やしても対応できるゆとりを確保。当面は一人一人が自由に使えるスペースを広くして快適性を高めたいとする。1990年設立。ベトナムに設計・積算・BIM開発などの現地法人を置く。ポルトガル、イタリアなど欧州の学会に積極的に参加しており、海外展開も視野に入れる。
担当記者:額田