マツダ(毛籠勝弘社長)は、豊富な経験やスキルを社外や地域社会で生かしたいと考える社員の転職をサポートする「セカンドキャリア支援制度」を試験的に始める。退職金を割り増し、専門家による相談などで再就職や引っ越しを支援する。工場の技能系以外の間接正社員のうち、勤続5年以上の50〜61歳(定年後の再雇用前)が対象。今年と来年の6、12月に申請を受け付ける。500人に達し次第終了。上意下達ではなく社員が主役となる企業風土の醸成に力を入れており、2023年から1万4000人に専用の研修を実施。自らの意志で自律的にキャリアを描き実現しようという社員の意識が高まる一方、会社の枠にとらわれないキャリアパスを求める人が出てきた。竹内都美子執行役員は「まずは転職したくても年齢が足かせになりやすい層に限定し、制度を導入。真に社員の自律を求めるのならば、本人の希望をかなえるべきだと考えた。制度化によって、当社が本気でそれを実現したいのだと、周囲の社員にも伝わると信じている」と話す。本人へのヒアリングを基に広島や山口を中心に転職先を探し、マッチングを図る。昨年には同社と中国電力、ひろぎんHD、広島県が転出超過の解消を目指すプロジェクト「HATA ful(はたフル)」をスタート。出向や兼業で各社のプロジェクトや業務を相互にこなす「キャリアチャレンジ」などに取り組む。昨年9月の発表会では「人材交流プラットフォームなどで組織の枠を超えて人がつながり、誰もが自分らしく働ける職場を増やすことで、広島全体が働く場所として魅力的になるべき」とし、マツダの今回の制度も同様の意図があるという。同社が早期退職者を募るのは、バブル崩壊後に業績不振だった01年以来で、1800人の募集に2213人が申請・退職した。現在は米国トランプ大統領の関税政策で不透明さが増すが、竹内執行役員は「人への投資を強める経営方針の一環であり、業績の懸念やコスト削減が理由ではない」とした。

担当記者:吉田

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