広島大学発ベンチャー企業「IPL」の社長を兼務する広島大学未病・予防医科学共創研究所(南区霞)の杉山政則所長(広島大名誉教授)は5月14日、社会実装を視野に進めてきた植物乳酸菌の研究成果を紹介するシンポジウム「植物乳酸菌による未病・予防医学への貢献」を南区霞の広島大広仁会館で開く。杉山所長の研究シーズや広島大の特許を使用して実績を出す企業が事例を発表。産学連携を加速し、健康長寿社会に資する植物乳酸菌の可能性を広げる狙いだ。同大の近村淳産学連携部門長が、杉山所長(当時、薬学部教授)の定年後も研究継続を民間企業で支えようと設置された「未病・予防医学共同研究講座」の意義を話すほか、腸内細菌叢(そう)と植物乳酸菌との関係、食品臨床試験報告、医師主導型臨床研究の取り組みなど、各専門領域の現状を発表。ウイルス感染症と治療薬の現状についての特別講演もある。午後から、共同研究参画企業が発表。植物乳酸菌の機能を生かし、在宅高齢者向け配食サービスを始めた広島駅弁当、〝腸活飲料〟を開発し全国展開する野村乳業、植物乳酸菌による発酵液をサプリメント化したサクラオB&D、バイオガイア・ジャパン、設備・計装などの総合ソリューションサービスの旭興産グループが健康分野への進出を見据えて、成果や進捗などについて話す。杉山所長が2003年に始めた植物乳酸菌ライブラリーの保存菌株は現在1300株を超え、菌株の違いで免疫システムの強化や肝機能改善、肥満予防など異なる機能があり、目的に応じた機能性食品やサプリメント、創薬や医療応用まで期待される。同研究所は、同共同研究講座と一体運営され、食品臨床試験、腸内細菌叢と各疾患との相関性の解析、植物乳酸菌の代謝産物の経口摂取による腸内環境の改善などを証明する研究を担う。杉山所長は「産学連携で実用化を加速させ、研究成果を健康寿命の延伸に役立てたい」とし、多くの企業参加を呼び掛けている。(電)082―257―5280(杉山教授室)
担当記者:藤井