広島で最大規模の新たなタクシー共同配車サービスが5月1日に始まる。これまで客からの電話で配車依頼を受ける業務は各社が個別に行っていたが、空き車両がない場合、何度も別の会社に電話させてしまうことがある。各社の窓口と配車指示を一元化することで稼働車両の不足を防ぎ、一度の電話で完了しやすくする狙い。

地場大手のカープタクシーグループと宝塚タクシーグループの計5社約280台でスタート。サービス名は「Notte!(ノッテ)」で、各車の屋上灯の隣に専用灯(ロゴ)を付けて視認性を高める。順次、ドアにもサービス名を掲示する。南区大州1―9―5に共同無線室を置き、受け付けは(電)082―287―0011に統合。電話で迎車先を聞き、GPSで最寄りの車両を見つけて各車両のタブレット端末に地図情報を自動配信する仕組み。従来の番号も共同無線室につながる。迎車料金200円、時間指定予約300円。マル協チケットを利用可。業界は人手不足や人件費の面で小規模企業が配車係を確保しづらくなり、同業務の維持が共通課題だ。共同化は人的資源の効果的な運用を図れる。流し営業だと客は目の前に来た車を呼び止めるため、リピーター獲得戦略には配車が有効な一手となる。若い層を中心に配車アプリが普及する一方、複数車両の手配などは配車係に質問しやすく、スマホに不慣れな高齢者含め電話を支持する層も多い。ニーズをフォローしていく。これまで両社は各グループ内で配車していた。車庫の位置や乗客輸送の動線などの関係から空き車両の居る地域が偏り、客を待たせることもあった。タッグを組むことで配車時間の短縮につなげる。業界の通例として共同無線はM&A先を対象にすることが多いが、同サービスは各社が独立したまま対等な状態で配車だけを共有する。広島ではグループ内や協同組合(構成3社)の共同配車の例はあるが、組織化せずに連携するのは初めて。広島市域地区(一部除く広島市と廿日市市、安芸郡)の全域で対象車両を十分に確保できるようパートナーを募り、まずは500台規模を目指す。同地区では大手数社が4月から順次、迎車料金を設定(他にもともと有料の大手もある)。運行管理者や配車係の雇用維持のための待遇改善が背景にあり、一定の広がりが予想される。乗客の理解を得るには、利便性向上が一番の近道と言えそうだ。

担当記者:吉田

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