広島の歴史を伝える
被爆80年。戦後復興へ地元企業も大きな役割を果たした。広島西南平和ロータリー衛星クラブ(RC)は、そうした歴史を高校生に学んでもらうプロジェクト「RE:DAYS(リデイズ)」をスタート。4月23日に広島修道高校新入生280人に向け事前学習会を開いた。県内企業36社に取材して学んだ内容を手紙などにつづり、同RCホームページで国内外へ発信する。事前学習会では、中国新聞社メディア開発局の岡田浩一局長と明知隼二さんが記者経験を交えながら取材のポイントなどを話した。被爆直前に輪転機1台を市郊外の温品村(現東区)に疎開させていた。本社は人員、施設に甚大な被害を受け、新聞発行不能に陥ったが、休刊は2日だけ。生き残った輪転機1台を軸にして、生き残った人たちが新聞を生き返らせるため心血を注いだ一カ月余り。温品から再建の一歩を踏み出した(同社百年史)。岡田局長は、「取材には当事者にしか語れない情報を聞き出す『虫』と、社会情勢など背景を客観視する『鳥』の目を持つことが重要。被爆当日の午後、現地で写真を撮影するという地元新聞ならではの経験をしている。戦後GHQ統治下にプレスコード(報道の検閲)を回避するためだったのか、その写真を1946年7月6日に別会社『夕刊ひろしま』から発信した歴史がある。こうしたエピソードを通じて地域社会や自身のルーツへ思いをはせ将来、どこに住んでも地元に貢献したいと考えてもらえたらうれしい」広島の今を伝え続けてきた新聞人の気概なのだろう。
一度の人生
保育サービスを全国展開するアイグランホールディングス(西区庚午中)の重道泰造会長は、総合職に携わる人材の採用面接は自ら臨むことにしている。「初対面であろうと私の思いを率直にぶつけている。誰しも一度しかない人生。納得し、本気で仕事、人生と向き合ってほしい。学歴ではなく、こうした生きていく上で大切な姿勢が私と同じ方向に向いているかどうかを重視している」特に中小企業ではトップの考えに共鳴し同じ汗を流せるのか、目的を達成する決め手という。どの業種も採用難や定着率の低迷に頭を悩ませるが、「企業ブランドのある大手と違い、中小にとってトップ自らの熱意と存在が経営の要諦と思う。人材採用は双方にとって真剣勝負。どう在るべきかと自分に問い、答えを導き出すことが大切ではないでしょうか」新卒は3年前から、総合職5、一般職15の計20人を目標に、今年は計19人を採用。保育などの現場を含めると総勢186人に上る。入社3年目で人事総務課の大石竜聖さんは、「面接で重道会長から直接、事業へ寄せる熱い思いを聞かされて心が揺さぶられた。当社を選んだ理由はトップの志です」自分の可能性を信じ仕事、人生に立ち向かう姿勢が人を動かす。
タクシー値上げへ
県内のタクシー会社が向こう1年をめどに値上げを検討している。3月24、25日に数社が中国運輸局へ要請書を提出。審査開始には、これに続く会社の合計車両数が3カ月でエリア全体(個人タクシー除く)の5割を超える必要がある。広島市域地区(69社2580台)は初乗り運賃を現行の1236㍍670円から1420㍍800円に、それ以外の地区(142社2209台)は1500㍍750円から1420㍍800円などに引き上げたい考え。要望を提出した宝塚タクシーグループ(東区)の信原賢一常務は、「燃料が高騰し、車両費、整備費などのコストも軒並み上昇。2023年6月の前回の値上げや旅行客の回復などを受け、歩合給の比率が高い乗務員は収入改善の兆しが見えてきた。しかし運行管理者や配車係の待遇改善が追いついていない。安全安心の公共交通を提供し続けるため、理解を求めたい」
現場で気付く
建機レンタルなどのリョーキ(西区)は建設大手の安藤ハザマと山岳トンネル工事に使う遠隔操作式コンベアを開発し、同現場から着想を得て次々と商品ラインアップを拡充している。同コンベアは、輸入した既製品に複数のセンサーやカメラ、システムを組み合わせ、250㍍離れた現場事務所から動かすことができる。他の機械と連携させ、トンネルの掘削から土砂の運び出しまでの工程を無人化。昨春から秋にかけての実証で問題なく稼働できたという。現場で気付いたことがヒントになった。コンベヤーのベルトの動きを動力源にした表示灯、非常停止ボタンの遠隔操作機能などを協力会社と制作。トンネルの外壁との距離を測るミリ波レーダーを活用したあおり運転防止装置は、高速道を時速80㌔以上で走行中に前の車に15㍍以上近づくと警告音を鳴らす。3月から社用車で検証中。環境機器事業部の山下勝治主管は、「日頃から問題を見つけ解決していくノウハウを磨いておけば顧客の要望に応えられる可能性が高まる。破砕機などの故障を未然に防ぐため、部材の摩耗を遠隔監視するシステムの開発も進めている」
ブライダル活性化
貸衣装などのブライダル総合企業の京都嵯峨野は4月29日、イオンモール府中で「広島ブライダル活性化イベントBRIDAL―VISION2025」を開いた。同社が開発した球団公認の「カープドレス&タキシード」を披露し、最新のウエディングドレスのファッションショー、元カープの天谷宗一郎さんのトークショー、骨盤・骨格診断、カープドレス試着先行予約キャンペーンなどを行った。MCはカープの廣瀬純コーチ夫人の桃子さんが担当。同社は、「コロナ禍以降、婚礼を挙げるカップルが減少を続ける中、改めて『結婚式は楽しい』と思っていただけるよう企画。人口流出が課題となっている中、カープと共に広島を盛り上げていきたい」
掃除箇所を探す
広島市倫理法人会(吉岡裕幸会長)は4月15日に「倫理経営講演会」を市内ホテルで開いた。日本で初めての家事代行サービス業者「ミニメイド・サービス」を創業した山栄コーポレーションの山田長司会長が「小さなことから会社は変わる」と題し、体験談を語った。年商20億円ほどだったビルメンテナンス会社の売上高を倍にするヒントを求め、38歳で倫理法人会に入会。そこで会社のトイレ掃除を継続するようアドバイスを受けたことを引き合いに、「メンテナンス会社が自社トイレを掃除することくらい簡単だと思ったが意外と難しい。汚れが放置されていることにイライラしてしまう自分を客観視できた。自分の器以上に会社は大きくならないと痛感。1日の掃除箇所を自分で制限していることにも気付き、もっと広範囲を掃除するために工夫することが自分や会社の成長につながると確信した」