中国電力グループで電力量計の修理や電力監視制御装置の保守・点検などを手掛ける中国計器工業(府中町鶴江、佐伯正浩社長)は電力波形AI解析の米sense(センス)社と協働し、家電製品それぞれの電力使用状況をリアルタイムに把握できる計測システムの開発に取り組む。4月から中計工の社員100人を対象に実証試験を始めており、9月末までの半年間で日本製品の電力波形データを収集。これらを基に今秋、国内向けの製品・サービスの確立を目指す。センス社は既に同技術を米国内で事業化しており、500万台のスマートメーターに技術導入済み。節電だけでなく、波形の異常を把握することで家電の故障を予知できるほか、マクロ解析で電力のピークシフトなどにもつなげている。一方、センス社は日本国内家電のデータが少なく判別が難しいうえ、国内規格に合った製品を有していないため、両者で開発を進める。実証では、モニター社員の家庭内分電盤にセンス社のセンサー「オレンジボックス」を設置。センサーと連動したスマホアプリに所有する家電情報や太陽光発電の有無などを登録してデータを収集し、判別精度の向上を図る。家庭の省エネや居住者のフレイル(虚弱)予防・見守りなどに加え、企業向けの需要も想定。配電線網の故障個所の推定支援や電気火災事故の予防、電力ひっ迫を防ぐ電力需要調整などに役立てることで社会課題の解決の一助にしたいとする。
担当記者:高見