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「広島から、ユニコーン企業に匹敵するような、企業価値が高く急成長する企業を10年間で10社創出する」ことを目標に掲げた「ひろしまユニコーン10」プロジェクト。このプロジェクトの一環であり、事業の急成長を伴走支援する「ひろしまユニコーン10 STARTUP ACCELERATION 2023」に挑戦中の16社に、改めて事業の概要や今後の展望などをインタビューしました。

― 事業内容は大腸や小腸の粘膜に慢性の炎症を引き起こす原因不明の病気 「潰瘍性大腸炎」や「クローン病」の薬を開発しています。働き盛りの20~30代の患者が多く、下痢や腹痛、血便のために仕事がままならなくなることも少なくありません。完治することはなく、治療法は炎症を抑える5ASA製剤やステロイド製剤、炎症を引き起こす物質を抑える免疫抑制剤などが主流ですが、効果が低い、副作用が強く長期間使えない、価格が高いといった課題があります。そこで、長年の研究の中で発見した腸の粘膜を修復する作用のある化合物を基に、効果が高く副作用が少ない安価な薬品を開発しています。― 創業のきっかけは当院を開業した父は長年にわたって潰瘍性大腸炎やクローン病を専門的に扱い、炎症によって活性化した白血球を取り除く「血球成分除去療法」や独自の漢方薬「広島漢方」などを研究・開発してきました。そんな中、2020年に効果と安全性の高い化合物を発見。3,000人以上の患者さんに服用してもらったところ、1カ月以内に8~9割の人の症状が改善しました。頭痛、腹痛といった副作用も既存の薬より軽度で、世界中の患者さんに届けたいと創薬の事業化を決意しました。― プログラム参加のきっかけは父の同級生の勧めで参加しました。医療や知財の分野に強いメンターのアドバイスを受けているほか、経営戦略や資金調達面でも知恵を貸していただいています。また、熱意溢れる参加者の方々と話す中でパワーをもらっています。― 今後の展望は化学メーカーの協力の下、来春をめどに薬を開発し、活性や毒性の評価などを行う予定です。厚労省のMEDISO(医療系ベンチャー・トータルサポートオフィス)、専門家や弁理士の協力を得て特許取得を目指します。その後、動物実験や少人数での治験を実施。自社だけでは大人数の治験は難しいため、製薬会社と業務提携し、2027年にクローン病、2029年に潰瘍性大腸炎の薬事承認を目指します。ゆくゆくは海外でも承認を得て世界の患者に届けたいという思いを抱いています。炎症を抑える作用があるため、大腸がんの予防や手術後の合併症の軽減などにも活用できるでしょう。将来は創薬にとどまらす、医療機械など医療関連事業を幅広く展開したいですね。



― 事業拡大により世の中にどのようなインパクトを残したいか潰瘍性大腸炎は日本に20万人、世界に500万人、クローン病は日本に5万人、世界に20万人の患者がいます。トイレに行く回数が増え、痛みや不快感が続くほか、発熱や体力の低下も起こり、長期にわたる治療でも症状が改善せず、腸を摘出して人工肛門を付けざるを得ないケースもあります。この薬を一日でも早く市場投入することで患者のQOL(生活の質)を向上させたい。服薬で体調が改善して定職に就けるようになれば、医療・社会保障費が減るとともに税収が増え、国力アップにもつながると考えています。
編集後記
長年にわたり潰瘍性大腸炎やクローン病を専門的に診療し、治療法を研究し続けている天野社長と父の國幹さん。何度も口にされていた「苦しんでいる患者さんを楽にさせてあげたい」という言葉が印象的でした。個人経営の病院が創薬に取り組むケースは珍しく、資金調達や特許申請など初めての経験の数々に苦労が絶えないそうですが、その熱意で一つ一つハードルを乗り越え、患者さんの元に薬を届けてほしいですね。
プロフィル

株式会社SKY MEDICAL JAPAN / 代表取締役 天野 新也広島大学附属高校、埼玉医科大学医学部を卒業し、2009年に横浜市立大学に入局。同大附属病院助教授、横浜南共済病院医長、秦野赤十字病院(神奈川県)医長などを歴任した。父の國幹理事長が開いたスカイクリニック(広島市南区)に2020年4月から勤務し、現在は院長を務めている。2023年12月、株式会社 SKY MEDICAL JAPANを設立。