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「広島から、ユニコーン企業に匹敵するような、企業価値が高く急成長する企業を10年間で10社創出する」ことを目標に掲げた「ひろしまユニコーン10」プロジェクト。このプロジェクトの一環であり、事業の急成長を伴走支援する「ひろしまユニコーン10 STARTUP ACCELERATION 2023」に挑戦中の16社に、改めて事業の概要や今後の展望などをインタビューしました。

― 医療・健康分野に進出した経緯は広島市内の機器商社の社内起業として1996年に株式会社イノテックを設立以来、順調に業績を伸ばしていたのですが、2008年にリーマンショックが起こりました。工業向けの画像処理や計測ソフトを開発販売していたため、企業の設備投資意欲の減退によって受注が減少。それがきっかけとなり、景気に左右されにくい会社を目指して医療分野への進出を決めました。以来、膝関節診断支援システムや再生医療用幹細胞のAI品質評価・管理サービス、医療アンケートシステムを相次ぎ開発。従来の工業分野の受注が回復するとともに、こうした医療・健康分野も事業の新たな柱に育っています。学生時代から社長になる夢があり、2017年3月に株式会社イノテックのMBO(自社株買収)を実施。雇われ社長から本当の意味で経営者になりました。同社は従来の工業分野を担当し、株式会社AiCELLEXでは医療・健康状態のモニタリングや治療の可能性を開拓していきます。諦めたり後悔したりせず、立ち止まっていいから、ゆっくりでも前に進めば、夢は必ず実現するはずです。他人のせいにせず、成功するまでやり続ける決意を持ち続けてきました。MBOの際に資金面などで困難な状況を支えてくれたメインバンクや周囲の恩に報い、会社を成長させて、従業員やその家族、お客さまに安心して喜んでもらえる企業を目指します。

― 事業内容は世界中で再生医療の研究が進む中、幹細胞を安全かつ効率的に培養する仕組みが求められています。当社のAI品質評価・管理サービスは、培養中の幹細胞の画像をクラウド上にアップロードすると、ビッグデータを基に品質を数値化。通常は培養に2~3週間前後かかりますが、初期段階の画像の数値を見れば最終的にうまく培養できるかどうかを高い精度で判断でき、「手間と時間をかけたのに失敗した」という事態を防げます。発達障害者のコミュニケーション支援ツール「FURE-i(ふれあい)」も開発し、2024年秋にリリース予定です。モニターに表示されたバーチャルヒューマンと会話してもらいながら、ウエアラブル端末で心拍数を計測します。発言回数や内容、その時の心拍数の増減(精神的な負荷の有無)などのデータを蓄積しパターンを分析することで、将来的に本人が能力を発揮しやすい分野を見つける狙いです。発達障害児は生きづらさを感じ、両親も育児に悩んでいます。ペアレントトレーニング(心理療法プログラム)を見学したときに、「自分たち(両親)が亡くなった後に子どもが生活できるか不安」という声をよく聞きました。当社のツールを使い、それぞれの特性や長所に応じた学校・職場での過ごし方を工夫してもらうことで、日常生活の困難を軽減できます。健康で豊かな生活が送れるよう、今後も技術開発を続けたいと考えています。― 他社との違い、強みは再生医療に不可欠な幹細胞培養時の品質管理は、これまで顕微鏡を使った熟練者の目利きに頼っていましたが、当社のAI品質評価・管理サービスはベテランでなくても担うことができます。クラウド上に蓄積していくデータを基にAIが学習していくため、精度がさらに高まっていくことも強みです。この分野でクラウドとAI、画像計測を組み合わせた品質管理システムは他にありません。発達障害者のコミュニケーション支援ツールは生成AIや自動翻訳、音声認識を用いることで、自然な音声対話と字幕表示を行います。ウエアラブル端末で心拍数を測るのですが、体調に異常があればバーチャルヒューマンが「しっかり休んでね」などと気遣うほか、話題も豊富で、対人と遜色ないレベルの会話が特徴です。一般的に発達障害者への対処はカウンセラーの経験などに頼っていますが、障害の度合いの客観的な判断指標になります。― プログラム参加のきっかけはオープンイノベーションをテーマにしたパネルディスカッションを聴講した際に、広島県から「ひろしまユニコーン10 STARTUP ACCELERATION 2023」プログラムのことを教えてもらいました。株式会社イノテックから医療・健康分野をカーブアウトさせるとともに、発達障害者のコミュニケーション支援ツールの社会実装を実現させるために伴走支援を受けたいと考え、プログラムに参加しました。― どのようなインパクトを残したいか再生医療・遺伝子治療法の国内市場は2025年度に3,800億円、2040年度に1兆1,000億円に伸びると予想されており、再生医療を下支えするAI品質評価・管理サービスの需要はこれから急速に高まると期待しています。また、発達障害者のコミュニケーション支援ツールの対象市場は国内の教育・医療福祉施設の数から202億円と推測され、その3割への導入を目指します。企業理念に「匠の目をデジタル技術でDX化」と掲げており、画像計測技術をコア・コンピタンスに多彩な最新技術を組み合わせることで、多くの分野で勘や経験に頼っている業務の在り方を変革していきます。

編集後記

医療・健康分野のシステム開発を通じて、社会課題の解決を目指す株式会社AiCELLEX。代表取締役の伊藤さんは失敗を乗り越えながら多くのアイデアを実現させ、個人対象の「ものづくり日本大賞」経済産業大臣賞を受賞されています。その姿から、ベンチャー企業や新事業の成長にはトップの熱意や資質が重要だと改めて教えられました。

プロフィル

株式会社AiCELLEX / 代表取締役 伊藤 賢治広島市出身で城北中・高校から広島経済大学を卒業し、1985年に広島市内の機器商社に入社。社内起業の形で1996年に株式会社イノテックを設立し代表取締役に就任。画像計測技術を核に、製造業向け品質管理システムなどの開発を手掛けてきた。同技術を生かすことで、2010年に東京大学附属病院22世紀医療センターと膝関節診断支援システムを共同開発。医療分野のシステム開発に本格参入し、2017年には再生医療用幹細胞のAI品質評価・管理サービス「AiCELLEX(アイセレックス)」の提供を始めた。医療・健康分野を強化するために23年6月、関連会社をサービスと同じ名称に変更した。

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