松田製袋(中区舟入幸町、藤川裕太社長)は3月に県から経営革新計画の承認を受け、紙製パッケージ袋の小ロット製造と直販に注力する。従来は主に印刷会社の下請けとして官公庁や民間企業が使う事務用封筒などを大量に生産していたが、ペーパーレス化、郵送費の上昇によって流通量が減少。一方で食品、雑貨といった品を入れるパッケージ袋は通販市場の拡大や観光客の増加で需要が伸びており、大手印刷会社が対応しづらい小規模事業者向けの袋製販に狙いを定めた。1997年創業で従業員8人。祖業の事務用封筒生産では印刷会社から送られた紙を切り、封筒型に折って、のり付けする作業のほか、透明フィルム越しに宛先などが見える窓の加工も手掛ける。しかし封筒の需要低下を受け、大手包装製品メーカーから大ロットで受託生産する紙製パッケージ袋の売上比率が上昇。その中でエンドユーザーである食品や雑貨関係の事業者と関わりが生まれたことをきっかけに、小ロットのパッケージ袋の需要に商機を見いだした。同業界では昨今の脱プラスチックの流れのほか、デザイン性の高さ、手触り・厚みといった質感の選択肢の多さなどから紙製パッケージに注目が集まっているという。近年は小規模事業者がECサイトを通じて商品を売ったり、マルシェなどイベントで物販を行ったりする例も多い。こうした事業者をメインターゲットに、最低ロット500枚程度のパッケージ袋を直接販売する。藤川社長は「封筒加工で培った技術で小ロットのニーズに応えていく。下請けから脱却して収益力を高めたい」と話す。今後は同事業のウェブサイトを制作してPRを強化する方針。また折り鶴再生紙を使うメモ帳やポストカードといった自社製品を県内の土産物店に直接納入している縁を生かし、将来はパッケージ袋の顧客と店をつなぐ卸業も構想する。

担当記者:近藤

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