森信建設(中区富士見町、森信秀樹社長)はオーナーへの不動産活用提案の一環で、介護施設の企画や設計・施工に加え、職員採用、運営まで担うワンストップサービスに力を入れている。6月1日には、同社が運営まで手掛ける4カ所目のグループホーム「なでしこ隅の浜」を佐伯区隅の浜3―6―8に開く。運営で得た知見をフィードバックし、設計などの質を向上。自社運営を伴わない新築案件やコンバージョン(用途変更)を含めて受注拡大を図る。
隅の浜の施設は敷地948平方㍍に2階建て延べ542平方㍍を新築した。同社がオーナーから35年間一括で借り上げる。10平方㍍の居室18室を置く。現在6人の入居が決まり、まずは1階部分をオープン予定。2階部分は9月ごろの受け入れをめどに職員を募っている。地元食材や自家精米を使い、施設内の調理で出来たてを提供。機能訓練室があり、インストラクターによるリハビリ体操などを行う。かかりつけ医の定期往診や訪問看護師によるケアもある。入居費は月14万5000円(介護保険料の自己負担分除く)。敷金約20万円。寝具や身の回り品など実費。2012年に本社ビルでグループホーム1号を開き、介護施設の新築やコンバージョンの施工実績は累計20棟を超える。森信社長は「既存施設の運営だけを依頼されることがあるが、実はお断りしている。本業を根幹に据えなければ、経営がぶれてしまう。入居者と職員共に居心地が良い空間や使いやすい設計にこだわる」と明かした。今後も建設を主軸に運営まで行う総合力を強みにしていく方針だ。本年度中に社長職を長男の秀一郎常務に譲り、自身はグループホーム事業に注力する考え。毎年1棟の開設を目指す。

秀一郎氏は1984年10月5日生まれ、広島市出身。広島大学付属中・高から東京農業大学大学院博士前期課程造園学専攻を修了。ゼネコンや都市銀行に勤め、2013年に同社入社。24年に親子2代となる広島JC理事長を務めた。
担当記者:吉田