
この記事は有料会員になると
読むことができます。
会員特典
- 限定記事が読み放題独自取材や深掘り分析の記事を有料会員限定で公開。
- 専門家の特別解説動画経済や業界トレンドを解説する限定動画をお届け。
- 広告の非表示化すべてのページで広告なしの快適な閲覧体験を提供。
- 関心分野のニュース配信好みに応じた記事を厳選し、毎日メールで配信。
オリジナルコンテンツが読み放題
-
ピックアップ 2024.12.23
新造船受注量 24年度上期は前年比20%増 30年に向け増加の潮流予想
-
ピックアップ 2024.12.23
ディスカバー東広島 酒蔵観光×相乗り実証実験 遠方地への回遊性向上を目指す
-
ピックアップ 2024.12.23
ティーエーティー(京都) 八丁堀に12階建てホテル 「PIECE広島」5月着工、来年11月開業へ
昨季6年目にして初めて規定投球回に達した床田寛樹は、冗談交じりに話す。「森下(暢仁)より打撃が良いと思う」。それを象徴する試合が2023年9月26日の中日戦だった。床田は8回途中まで5安打無失点に抑え、自己最多となる11勝目を挙げた。この試合で彼は3打数3安打(うち二塁打2本)を放つ。マウンドでのテンポの速い投球も魅力だが、とにかく打席でのセンスが良いのだ。23年の打率は2割7分5厘だった。落ち着いたマウンドさばき。長いイニングを投げるための「ギアの上げ下げ」。周囲をリラックスさせる独特の人柄。どの角度から見ても今、一番信頼できる左腕である。状況に応じて投げ分ける2種のツーシーム、時々勝負球に使うパームボール。球団の評価も高く、彼はついに1億円プレーヤーになった。その床田が23年シーズン途中から新球を投げ始めた。9月15日阪神戦の3回、4番大山悠輔を追い込んでからの3球目。球速133㌔のど真ん中の遅球に大山のバットが空を切った。「いける!」。床田も捕手の坂倉将吾もそう思ったという。この球は床田が練習中に、同じ球を得意とする森下から教わったもので、彼はその後、この〝森下チェンジアップ〟を有効に活用した。この気持ちの余裕、気軽さが床田の長所だ。あのパームボールも2軍の試合中に思い付いて投げ始めたものという。彼はぶっつけ本番で投げることで「投げれば前に進む」と話す。彼のサバサバした性格が、好循環をつくり出す。7年目の今季もまた〝左のエース〟の座は譲らない。自身初の開幕投手も夢ではない。
プロフィル
迫 勝則(さこ かつのり) 1946年生まれ。マツダ退社後に広島国際学院大学部長などを務め、執筆・講演活動を続ける。近著は「森下に惚れる」「逆境の美学」