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サゴタニ牧場を経営する砂谷(佐伯区湯来町)の久保宏輔副社長は2月22日、福岡で開かれたピッチコンテスト「ICCサミット2024」に出場し、牧場づくりについてプレゼンテーション。フード&ドリンクアワードで準グランプリを、「想いへの共感」部門では一位を獲得した。昨年11月には、世界各地を回って農業を学ぶ「英ナフィールド国際農業奨学金制度」の日本代表として欧州での農業研修にも参加。放牧酪農を目指しており、さまざまなヒントを得たという。牧場づくりにかける思いを聞いた。

-地域住民とともに牧場をつくる1941年に佐伯区湯来町で創業した砂谷。約35㌶(マツダスタジアム七つ分)の牧場と、120頭の牛を保有する。牛乳の消費量減少と飼料価格の高騰により、酪農業界の経営環境は年々厳しくなっている。こうした状況の中、久保副社長は2016年に大手エンジニア会社を辞め、家業の酪農を継ぐ決意を固めた。以来、地域住民に牧場を開放し、食体験の場を提供する新たな取り組みを始めている。訪れた人たちが牛と触れ合える放牧酪農への思いを抱いており、30年の実現を目指している。「ただおいしい乳製品をつくるだけではなく、食べることの意味や、〝農〟の持つ役割を考えられる牧場づくりをしていきたい。放牧を中心としながら、レストランやイチゴ農園など、農業と食の営みを体感してもらえる場所を少しずつ増やしている。将来的にはコメや野菜づくり、ワイナリー設置などを構想。地域の人たちと一緒に土にまみれることができたら、愛着を抱いてもらえるのではないかと考えている」-欧州での研修でヒント得る世界の酪農の主流である放牧酪農を自身の目で見たいと思い、ナフィールド国際農業奨学金制度に応募したという久保副社長。昨年11月に欧州やアフリカ7カ国70カ所以上の農場を巡った。同支援制度は約70年の歴史を持ち、OB・OGは世界中に1700人を超える。世界中から集まった約80人の奨学生が2週間の共同生活の中で、最先端から伝統農業まで幅広く学んだ。「旅を通じて世界の農業者が今後の農業の在り方(気候変動、人口増加、エシカルなどの課題を踏まえて)をどう捉えているかを知った上で、自分の軸を作りたい。そして世界中に仲間を作り、プログラム終了後も交流を続け互いに切磋琢磨しながら成長していきたい」と話す。英国での共同研修後は個人で欧州やアフリカの農場を視察。旅を通じて自身の研究テーマ「放牧酪農」を深掘りしていった。中でも印象に残っているのは、アイルランド。放牧地を小分けにして日ごとに場所を移す「管理放牧」で、非常に効率的な牧場経営が行われている。自由に放牧すると、草がまだらに食べられたり、好きな草だけを食べてしまうといったデメリットがあるが、こうした管理放牧だと、それを解消できるという。-地域に豊かさ提供する牧場へサゴタニ牧場も同様の仕組みを目指し、佐伯区湯来町という山間において放牧地を広げている。「牛は、実は傾斜角度35度程度の地形でも生活できる。国土の約7割が山や森林に覆われている日本でも放牧地を増やせると思っている。管理放牧は、牛にとって完全な自由ではないが、可能な限り自然な生活をさせるほうが牛の健康にとっても良い。そのため、管理放牧を行いながらも搾乳時間には牛舎に戻す仕組みを整え、生産性と放牧を両立させたい。人口100万人都市の中心から1時間以内の場所に牧場があるというのは、世界的に見ても珍しい。この牧場に年間約10万人が訪れているという強みを旅を通じて再認識した。市内近郊に牧場があることで、地域に豊かさを提供できると思っている。地域の人たちとつくる牧場を目指したい」

プロフィル

くぼ こうすけ1983年生まれ、同志社大学卒業後、大手エンジニアリング会社に就職し、プラントなどの大規模構造物の建設に携わる。9年間の勤務を経て家業の砂谷に入社。実は動物アレルギー。

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