相互に送客
50代以上の女性をターゲットに女性誌販売部数全国首位の月刊定期購読誌「ハルメク」。カタログ通販のほか、誌面で紹介するオリジナル商品を販売するリアル店舗が4月10日、福屋広島駅前店4階にオープンした。全国19店目で、中四国初。洋服や下着、靴、化粧品のオリジナル商品をそろえる。一生自分の足で歩き続けられる靴づくりを目指し、売り場に足の測定コーナーを備え〝ぴったり〟を案内。雑誌の主力層は65〜75歳の女性で福屋の顧客層とも重なる。ハルメク広報担当者は、「もともと雑誌で紹介する商品が欲しいという声に応え、販売を始めた。購入者のグループインタビューやアンケートで顧客理解に努めて商品開発。通販〜ECサイト〜店舗〜新聞・テレビの相互連携で販売展開している。読者47万人に物販利用者を加え90万人、中国地方5万人、うち広島1・8万人。出店先は百貨店が中心です」広島で老舗の福屋と相互送客に期待を寄せる。発行元ハルメク(東京)は30店舗を視野に年内数店を計画。女性の〝本音〟に応える誌面と店づくりが支持されているよう。
奇跡の椅子
倒産寸前だった家具メーカーマルニ木工(佐伯区)と著名デザイナー深澤直人さんが生み出した「HIROSHIMAアームチェア」を題材に、書籍「奇跡の椅子 AppleがHIROSHIMAに出会った日」(文芸春秋)が発刊された。シンプルで曲線的なデザインが支持されて米アップル本社に数千脚を納めるなど海外輸出へ活路を開いた。G7広島サミットでは各国の首脳が座り、話題になった。3月23日に西区のレクトで開いた発刊記念トークイベントに山中洋社長と著者の小松成美さんが登壇。小松さんは、「激動の企業再生物語から生まれた椅子は、多くの人のつながりが生んだまさに奇跡の産物。ものづくりの誇りを感じてほしい」山中社長は、「〝世界の定番〟を目指し、深澤さんと走り出した時の興奮は今も忘れられない。100年先もこうした家具を作り続けていく」1928年の創業来、「工芸の工業化」をテーマに据え、職人技にロボット加工を組み合わせるなど、量産化の成功によってブランド地位を築く。高級洋風家具の大ヒットで91年にグループ売上高は300億円に達したが、バブル崩壊で需要が急減。工場集約や大規模リストラを進めるが、売り上げ減に歯止めが効かない。わらにもすがる思いでデザインの抜本改革に乗りだし、2006年に深澤さんへ協業を打診。製品化に向けたデザイナーと職人の挑戦や葛藤、海外での販路開拓など、同社の苦悩や熱意がつぶさに描かれている。現在の年商は約28億円、世界30の国と地域に展開している。
広信金80周年記念
広島信用金庫はサンフレッチェ広島と連携したイメージキャラクター「サンフレ信ちゃん」を制作。広告宣伝ツールとして利用を始めた。

5月の設立80周年を前に、昨年12月に法被を着た「ひろ信ちゃん」とカープ球団とコラボした「カープ信ちゃん」を制作。カープ信ちゃんはカープ帽やユニホームを身に着け、サンフレ信ちゃんはユニホームを着用。4月から始めた80周年記念定期で両キャラクター、NISAキャンペーン「三矢のチカラ」でサンフレ信ちゃんがチラシに登場している。経営企画部は、「信金業界のキャラクター『信ちゃん』は若年層にはレトロ感、中高年には懐かしい印象で人気が出ており、地域のオリジナル性を持たせた『信ちゃん』を制作する信金が増えている。80周年記念でカープとサンフレとコラボした広島版を作った。来年以降もCM、ポスター、店舗装飾などに幅広く使う予定です」カープ、サンフレ頑張れ。
ドライブの楽しみ
広島トヨタ自動車は4月2日、昨夏に新築移転した新本社に併設するカスタマイズ店「GRガレージ観音」(西区)でスポーツ仕様のMT車4種を貸し出す企画を始めた。メーカーと共催で6月29日まで。
メーカーが所有する小型車ヤリスや2人乗りスープラなどを8時間2万円から利用できる。担当者は、「GRガレージは県内の他販社も運営しているが、ぜひ広島トヨタで、と話を頂いた。普段はオートマチック車に乗るユーザーにもMT(マニュアル車)を操る楽しさを味わってもらいたい。レンタルをきっかけに、改造やチューニングの需要も掘り起こせたら」4月からの新しい道路交通法では、自動車学校でMT免許を取得する人も大半の教習をオートマ車で受けるようになるという。さらに運転自動化の車が普及すると車の乗り方、ドライブの楽しみ方も二極化しそう。
手料理で仲良く
門出の季節。広島酔心調理製菓専門学校は3月の第53回卒業式で122人を送り出し、4月8日に新入生146人を迎えた。式典に参列した広島商工会議所の田村興造副会頭(広島ガス相談役)は若者が地元で活躍してくれるよう願い、エールを送った。「商議所では街づくりなどの知恵を絞っているが活性化には人が最も大切。同校は地元の飲食・製菓業に多くの人材を輩出しており、とても心強い。料理を通じて皆を笑顔にし、健康に貢献できる素晴らしい仕事。夢の実現を願っています」実は田村さんの妻も同校卒業生。手料理のおかげで仲良く健康という。
近所の店をつなぐ
グループ企業のような連鎖的消費を地域の店同士で起こそうという取り組みがある。広告代理業などの「どこでも」(中区立町)は3月、近隣店の回遊性を相互に高めるポップ広告OitokU(おいとく)をリリースした。

縦5×横15×高さ10㌢程度のオリジナルアクリルスタンド(1個5500円、最低ロット10個)と名刺サイズのサービス券などを用意し、1個当たり月額1100円で設置店の開拓、券の補充といった業務を代行する。飲食店の座席やレジ横のほか、例えばケーキ店の焼菓子無料券を主婦や子連れが多いスイミング教室の待合室に設置するなど、顧客の希望や同社の調査に基づいて有効なターゲット層が多く訪れる店に置いてもらう。広島県理容生活衛生同業組合と提携しており、加盟する多くの美容室のレジや鏡前などにも置けるという。設置店ごとの帯出数、回収率、年齢層といったデータを収集し、ターゲティングを定期的に見直す。山本めぐみ社長は、「設置店にも置いた個数に応じて当社が毎月広告費を払う。地元に根付いた店を存続するには、近隣住民への認知度維持が重要です。〝置いとく〟だけで他店の顧客が周辺の店をふと思い出し、訪れる仕組みになれば」