何とカープが巨人を3タテし、首位戦線を走る。4月13日にマツダスタジアムであった広島市信用組合スポンサードゲームに山根勝正専務理事が始球式のマウンドに立ち、見事ストライク。今季の記憶に残る巨人3タテの前触れとなった。これまでは山本明弘理事長が始球式でズバリ剛球を投げ込み、スタジアムを沸かせた。だが数日前、宇部高野球部時代に鍛えた自慢の肩を壊し、やむなく山根専務へマウンドを譲ることに。2011年6月から始球式に臨み、コロナ禍を除く過去13試合のカープ勝敗は9勝3敗1引き分けと高い勝率を誇る。毎年カープが元気に泳ぐ鯉のぼりの季節を狙って始球式の日程を組んだ節もうかがえるが、めっぽう負けん気の強い山本理事長のしたたかな勝負勘も働いたのだろう。「来季は私が投げます」と早々に強気な宣言。カープにとっても心強い。

速太郎の決意

短時間車検の専門店「車検の速太郎」をフランチャイズ(FC)展開する速太郎本部(西区)は4月15日、全国のFC加盟店オーナーを集めた決起大会を市内ホテルで開いた。1999年のサービス開始以来、国産全車種の検査料1万3000円(税別)を守り抜いてきたが、やむなく5000円値上げに踏み切った。近年の新型車は安全装備などに使う電子部品が増加。それらを診断するOBD検査が昨年10月に車検項目へ追加されたタイミングで決断。高木芳郎社長は、「多くのユーザーから理解を頂き、結果的に増収効果が生まれた。しかし業界は電動化の真っただ中。当初よりスピードが鈍ったように感じるが、いずれ電動車が主流になる時代が訪れる。新たな技術に対応できる整備士育成の原資とするため、今後、FC加盟料にメスを入れるかもしれない」本年度テーマに「共創」と「新しい伝統」を掲げる。最も大切な顧客との信頼関係を守り通す決意を示した。

おりづる再生紙の本質

被爆80周年の節目を迎え、印刷、広告企画、印鑑などの文華堂(中区国泰寺)は広島市立大芸術学部の中村圭教授や学生らと、〝おりづる再生紙〟の文化・社会的価値を再定義する共同研究を始めた。世界中から広島へ届く年約10㌧の折り鶴は市に保存されていたが、NPOおりづる広島と2011年に立ち上げた「おりづる再生プロジェクト」で、業務の一部を授産施設などに委託して再生紙に加工し、名刺をはじめ封筒やレターセットなどに商品化。自立支援と社会参加に寄与するとともに、名刺1枚につき1円を市原爆ドーム保存事業基金へ寄付した総額は589万1579円に上る。共同研究は再生紙の平和メッセージが明確に伝わる新商品や表現方法の開発などを目指し初回の4月17日を皮切りに8月まで3回開く。伊東剛社長は、「プロジェクトは14年目に入り一定の評価を得ているが、80周年を機にその意義を再考したい。中小企業のDX推進を支援しようと新規で始めた事業を通じ、産学連携の重要性を改めて認識した。同大出身の社員が中村教授に相談し、共同研究に至った。おりづる再生紙の本質を探り、中村教授の専門的な知見やデザイン力を仰ぎながら、新たな価値を生み出していきたい」より力強く折り鶴を羽ばたかせる狙いだ。

昭和50年代を写す

(社)空の下おもてなし工房は「ひろしま地歴ウォーク3写真でみる昭和50年代」を発刊した。カープ初優勝、商工センター造成など大きく変貌した昭和50年代の広島を捉え、写真と解説文で振り返る。旧日銀広島支店で昨年開いた写真展をベースに、記憶に残る出来事を伝えた街の光景に焦点を合わせている。①新幹線の開業と山陽本線の駅、②カープ初優勝と市民球場、③観音の空港と進化する交通、④復興から発展へ(基町高層アパートなど)、⑤変わりゆくまちの風景(レストハウス、相生橋など)で構成。旧市民球場など当時と現在の空中写真比較もある。オールカラーでA5判タテ型84㌻(税込み1200円)。県内主要書店で販売。同工房は、「地元の大学教授や学芸員らが執筆。今年は昭和100年の節目に当たり、新駅ビル開業の年。人口流出の時代で、県内外の人に40〜50年前の風景に思いをはせながら街歩きしてほしい」

ノビシロがある

事務機器販売などの岩井事務機(東広島市)が6月で創業135周年を迎える。「10年先まで新しくノビシロがある」という取り組みを軌道に乗せている。1890年に小売「岩井紙文具店」を創業。1970〜80年代は白物家電の需要増に対応して視聴覚機器や家電を売った。82年には広島大学の同市移転を受け、工学部棟近くで開いた売店では食品も取り扱うなど、時代に沿って業態を合わせてきた。2021年に東広島ゆめタウン内店舗を「プロ文具イワイ」としてリニューアルオープン。基礎文具類から美術・製図向け商品まで幅広くそろえ、わざわざ広島市まで出掛けなくとも済むようになったと地域から支持されている。23年には事務機器の企業向けコンセプト「10年先まで新しいnobisiro(のびしろ)シリーズ」を打ち出し、オフィスデザインの依頼にも対応する。5代目の岩井康隆社長は、「今に合わせると、やがて不便、不都合が生じる。23年にリリースした新シリーズは10年先を見据え、昇降式デスクや可動式パーティションなどを少しずつ事務所に取り入れながら柔軟性の高い業務環境をつくる業界初のサービス。あえて一度に全てを完成させないことで初期投資を抑え、10年間使いやすい状態に変化させることができる。初心を忘れず、かゆいところに手が届くサービスを提供していきます」

めぐる手すき紙

SDGsの観点が決め手になった。コトブキ印刷(府中市)は廃材から手すき紙を作り、名刺などの原料に使うプロジェクト「めぐる、手漉紙。」の採用先を広げている。2年前に始め、備後デニムの端材繊維や府中家具の木くず、みそやしょうゆの原料かすなどを商品化。手すきならではの1枚ずつ違った風合いがある。昨年10月、東京で有名な旅行会社はとバスのツアーバッジに採用された。平和公園にささげられた折り鶴を原料に使い、平和の象徴ハトのマークをあしらう。戦後の1948年に観光を通じて夢を与え平和な日本にしたいと創業した、同社の思いを表す。また、プレスリリースの日にちなみPRタイムズが配った報道発表では新聞再生紙が使われた。今春、ギフト製造のジョッゴ(東京)は商品の緩衝材をメッセージカードに再生。のりや染色用薬品を使わず、環境に配慮した。コトブキ印刷の宗藤正典専務は、「ジョッゴ特有の革製品はバングラデシュで大量に廃棄されていた牛皮を活用しているほか、貧困層や障害者を雇用。当社も就労支援施設に手すき作業を頼むことで障害者の工賃底上げを図っている。思いが重なった」

優勝神楽団勢ぞろい

はつかいち観光協会吉和支部主催の「吉和神楽競演大会」グランプリイベント(春選抜第25回)が4月26日、廿日市市立吉和小・中学校の体育館で開催される。5年に1度開くグランプリ大会で、2019〜24年大会の各部門(旧舞・新舞)優勝団体と特別出演2団体の計10団体が勢ぞろい。午前9時20分開会し、午後5時に閉会。安芸高田市、安芸太田町、北広島町などに伝わる神楽団が、こん身の舞いを繰り広げる。演目は四方祓、天の岩戸、紅葉狩、塵倫、矢旗、鐘馗、滝夜叉姫、葛城山など。子どもから年配者まで幅広い層が来場し、昨年は300人近くを集めた。大会担当者は、「今回は間近で舞を楽しめる升席を用意したところ発売早々に全席を完売。予想を上回る反響があり、今から胸が躍ります。大会が吉和の地方創生につながり、神楽をやってみたいと思う人が少しでも増えるきっかけになればうれしい」

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