ひろしま美術館(池田晃治館長)は初めて、クラウドファンディング(CF)を使って正面シャッターを取り替え、所蔵名画をプリントする〝シャッターアート〟資金を募る。実施期間は4月8日〜6月13日。46年前設置されて老朽化が進む上、10年ほど前にプリントしたゴッホ最晩年の名作「ドービニーの庭」も経年劣化で修復を迫られていた。費用1150万円(内プリント費50万円)のうち500万円をCF目標に掲げる。広報担当者は、「CFを通じて多くの方々にご支援をお願いしております。2028年には開館50周年を迎えます。より安全で快適な環境を整え、市民のやすらぎの場となるよう広くアピールし、来館者の増加へつなげたい」東京上野の国立科学博物館が23年、標本保管費用のCF目標1億円に対し、9億円超を集めて話題になった。美術館は温度や湿度など作品の維持管理にも莫大な運営費が必要。入館料だけでは成り立ちにくい。民間が運営する地方の美術館は近年、閉館が増える傾向にある。「被爆80年。当館は広島の復興を伝えるシンボルでもあり、世界へ平和のメッセージを発信していきます」シャッターを彩る名画は検討中とか。

2館体制で活気

3月24日に新館「サウスゲート」が開業し、2館体制になったホテルグランヴィア広島は、コロナ禍で職場を離れた人員を補強するため、3年連続で新卒者40人程度を採用してきた。新卒者の大幅採用によって全社員のうち、25歳以下が40%を占めるフレッシュな顔ぶれに。島田正義社長は、「コロナ前は新卒者は10人程度で、各担当部署に配属すると少人数に分散されてしまっていた。ここ3年で入社した社員は同一部署に同期が多いためか、互いに頑張ろうという機運が高まり、職場を元気にしている。先輩後輩も年齢が近く、疑問や分からないことも互いに遠慮なく学ぶことができる。やりがいのある職場へ発展させていきたい」30、40代の中間管理者がやや手薄になりここをどう埋めるか、知恵を巡らす。「世代間ギャップにこだわってはいない。若手が高い意識と意欲を持って職務を全うしてくれている。新しい職場の文化をつくり、将来へつなげたい」

共同配車が出発

急いでいる時に限ってタクシーがつかまらない。何とか解消できないかという利用者の声に応え、カープタクシー(南区)と宝塚かもめタクシー(東区)は5月1日、新たな電話共同配車サービス「Notte!(ノッテ)」を始めた。一般的に電話配車の依頼は各社が個別に応じ、空き車両がない場合にたらい回しになることもある。窓口と配車指示を一元化することでマッチングをスムーズに行い、ワンストップで対応する。両社グループの計5社約280台でスタート。迎車料金200円、時間指定予約300円。マル協チケットの利用可。4月28日、南区大州の共同無線拠点で出発式を開いた。カープタクシーの平原昌彦社長は、「配車アプリが普及する一方、スマホに不慣れな高齢者を取り残してはならない。配車係との会話を通じて分かりやすく、親しみも感じてもらえる」宝塚かもめタクシーの信原賢一常務は、「中小は人手不足や賃上げといった課題を抱えており、共同化で解決したい。電話を受けた後、車両のタブレット端末に地図情報を自動配信するなど、業務効率化を図った」受け付けは(電)082―287―0011に統合。広島市域地区の総台数は2580台。連携を広げ、500台参加を目指す。

太陽光発電のEV

電気自動車(EV)はCO2削減につながるのか。「油田から車輪まで」と呼ぶ考え方が広まり、石油の採掘から車を動かすまでのCO2排出量、燃費を評価する。その一方でEVを動かす電気の原料も注目されるようになった。2026年までに太陽光発電の電力だけで社有車の運用を目指す広大発農業ベンチャー佐々木(東広島市)は被災地でも活用できるバリアフリートイレトレーラーをEVに切り替え、5月17日から広島―東京間を往復する試験走行を行う。昨年7月に全国で初採用したバリアフリートイレはこれまでガソリン車でけん引していたが、今年4月にトヨタ自動車製乗用タイプEV「bZ4X」を導入した。5月20日に渋谷区のスクランブル交差点などを通過し、同社が営農型太陽光発電で育てるキクラゲを〝植物性卵〟に活用している食品メーカーUMAMI UNITED本社(同区)へ向かう。24日に広島に戻る。江口康人社長は、「まずは長距離走行で車両や行程に問題がないか確かめる。今回は愛知、静岡の宿で一般電源を借りて充電するが、化石燃料由来の電力に依存するEVの在り方に疑問を感じ、営農型太陽光発電を利用できないかと考えていた。環境負荷が低く、災害時に停電しないなどのメリットがあり、有事への備えという側面もある。今年7月には京都で自社発電所を開くなど着実に計画を進めていく」

選ばれる国

人手不足が深刻化する中、国際的な人材獲得競争も激化し、いかにして外国人から〝選ばれる国〟になるか。技能実習制度を発展的に解消し、人材確保と育成を目的にした「育成就労制度」が2027年に始まる。長期雇用が可能になる特定技能2号在留外国人が増加傾向を見せており、さらに増えると予測される。外国人技能実習生や特定技能者を受け入れる西海協(安佐南区伴南)の池田純爾理事長は、「今後は、特定技能の1号から2号(福祉分野は介護)へ移行する需要が増える。法整備も含め、長く働きたいと希望する外国人材を受け入れるインフラ整備や支援体制を確立する大事な過渡期にさしかかる。外国人材を受け入れる企業自体が特定技能2号資格者を輩出できるよう、伴走型支援体制を整えしっかり後押しし、多様化する企業の受け入れニーズに応えたい」製造業向けは全国的に飽和状態にあるとし、ここ1、2年は福祉・介護分野やトラックドライバー、空港関連分野へと専門的で難易度の高い領域へ受け入れ先を広げてきた。県内の在留外国人は24年12月末で前年同月比8・8%増の6万7837人。過去最多を更新し続ける。地域ぐるみで外国人材への理解が求められる。

芸備線フォーラム

昨年発足した芸備線ディスティネーション協会は5月11日、庄原自治振興センターで「芸備線を活かした地域づくりフォーラム」を開いた。島根大学の保母武彦名誉教授の講演「芸備線と中国山地の相互発展」、関耕平法文学部教授の「芸備線再生の運動論」に続き、懇親会を行った。「地方再興の力になるSLの恒久運転」(イカロス出版)を著した東広島市在住のフリーライター中本祥二さんが芸備線、特に備後庄原―備中神代の利用者を増やそうと協会を立ち上げた。広島駅から芸備線全線の日帰り乗車ができることを周知するポスターを制作し掲示。1月には広島大学教授を招き野馳駅などの駅舎を視察した。中本会長は、「採算や住民の足の視点だけでなく、車窓の景色や特産品の開発など地域おこしのツールとして芸備線を活用する道を探りたい」

輝元をしのぶ

広島城を築いた毛利輝元没後400年を記念し4月27日、二の丸の南に建立した輝元公銅像除幕式があった。昨年7月から始めたクラウドファンディングなどで法人・個人合わせて当初目標の1000万円を大幅に上回る約2500万円を集めた。今年120周年を迎えたロータリークラブの在広14クラブも支援。銅像建立プロジェクトをけん引した「広島城天守閣の木造復元を実現する会」の大橋啓一会長は、「準備段階を含め、およそ3年を要した。郷土愛や誇りにつながればうれしい。今後も天守閣の木造復元のために、積極的に協力していきたい」

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